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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/08/25 14:07

業務効率

バリューエンジニアリングとは?導入メリットや進め方・企業の事例などわかりやすく解説

読了まで約3分

日本語で価値工学と訳されるバリューエンジニアリング(Value Engineering)は、コストと機能の面から製品やサービスの価値を図るための手段、手法を意味するものです。
元々は製造業で使われた手法ですが、多くの製品やサービスがコモディティ化し、競合との差別化が困難な現代においてあらゆる業種で欠かせない手法といえるでしょう。

本記事では、バリューエンジニアリングの概要や基本原則、導入のメリット、進め方などについてわかりやすくお伝えします。
バリューエンジニアリングの自社ビジネス活用を模索する経営者や代表者の方は、ぜひ参考にしてください。

VE(バリューエンジニアリング)とは

まず、バリューエンジニアリングの定義や意味、現在、多くの企業に導入されている背景について解説します。

バリューエンジニアリングの定義・意味

バリューエンジニアリングとは、バリュー(価値)とエンジニアリング(工学)を合わせた造語で、日本語では価値工学です。
また、バリューアナリシス(Value Analysis:価値分析)と呼ばれる場合もあります。

公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会では、バリューエンジニアリングを次のように定義しています。

“製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法”(※)
具体的には、限られたコストで必要な機能を網羅したうえで、最大の価値を得ることを目指し、組織的に機能研究の努力を重ねていくことを意味しています。

※引用:公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会|VEとは

バリューエンジニアリングが導入された背景

バリューエンジニアリングは、1947年にアメリカGE(ゼネラルエレクトリック)社の技師であるL.D.マイルズ氏によって開発されたものです。
開発当初は、第二次世界大戦直後で資材不足が慢性化しており、資材の調達費削減を目的としたものでした。
しかし、その後は調達以外にも設計や製造など幅広い分野で活用されています。

1960年代に入り日本でも最初は製造メーカーの資材部門に導入されましたが、コストを抑えながらも、高い効果を得られる手法ということですぐに注目を集めました。
現在では、多様な業種において、新製品開発や製品製造費のコスト削減、業務改善などでバリューエンジニアリングが活用されています。

 

バリューエンジニアリングの基本原則

バリューエンジニアリングの定義や意味を理解した上で実際に導入し、効果的に進めていくためには、次に挙げる5つの原則の理解が欠かせません。

・使用者優先の原則
使用者であるお客様が製品やサービスに何を求め、どのような価値に重きを置き、何を解決させたいと思っているのかを追求する。

・機能本位の原則
製品やサービスが本来果たすべき機能を明確にし、実現させるべく改善を繰り返す。

・創造による変更の原則
従来の常識や価値観といった固定概念にとらわれることなく、常に自由な発想やアイデアを活かし、工夫・改善を実行する。

・チームデザインの原則
個人ではなく、チームとして各専門分野から知見を集め、チームとして改善を図る。

・価値向上の原則
常に機能とコストの相関を分析し、もっとも価値を高めるにはどうするべきか、そのアプローチを探る。

 

バリューエンジニアリング導入メリット

バリューエンジニアリングの導入により、企業はさまざまなメリットを得られますが、なかでも大きいのは次の点です。

・コストダウン
バリューエンジニアリングの基本的な考え方は、「コストを抑えつつ最大限の価値を得る」です。
そのため、バリューエンジニアリングで成果を挙げたということは、同時にコストダウンも実現しています。

・業務効率化
限られたコストで最大限の価値を得るには、現状の業務プロセスを見直して無駄を排除しなければなりません。
その結果、効率化が進み従来よりも短時間で業務を進められるようになります。

・顧客満足度向上
バリューエンジニアリングを実践すれば、従来よりも安い価格で高機能な製品・サービスの提供が可能になります。
結果、顧客満足度の向上も期待できるようになるでしょう。

・技術力向上
限られたコストのなかで必要な機能、求められる機能を搭載するには社員の創意工夫が欠かせません。
そのため、バリューエンジニアリングの実施により、社員の技術力・想像力は各段に向上する可能性が高まります。

・チーム力向上
バリューエンジニアリングはチームで実施していくため、コミュニケーションの活性化や互いの切磋琢磨により、チーム力向上も期待できます。

・問題発生時の迅速な解決
社員間のコミュニケーションが活性化されるため、情報共有のスピードも上がり、問題が発生した際にも迅速な解決が可能です。

 

バリューエンジニアリングの手法

バリューエンジニアリングの軸となる「価値・機能・コスト」は次の関係式で表されます。

価値=機能/コスト

つまり、コスト、機能どちらが欠けても高価値は得られません。
バリューエンジニアリングを進めるための手法としては、次の4つの手法が求められます。

  1. コストは同じまま、機能を向上させる
  2. 機能は同じまま、コストを削減させる
  3. コストを削減し、機能も向上させる
  4. コストをかけ、機能を大幅に向上させる

 

バリューエンジニアリングの分析・進め方のステップ

バリューエンジニアリングを実行していく際の分析手法、進め方は基本の3ステップと詳細の10ステップがあります。
ここではそれぞれについて見ていきましょう。

基本3ステップ

1.基本定義(分解)
インタビューやアンケートなどを実施して、お客様が求める価値に関する情報の収集を行い、そのうえで必要な機能の定義を整理します。

2.機能評価(分析)
機能別にコストの分析、評価を行い、バリューエンジニアリングの対象となる分野を選択します。

3.代替案作成(創造)
さまざまなアイデアと発想を活かし、代替案の作成・評価を行い、具体化をしていきます。

詳細10ステップ

・情報収集
対象となる製品・サービスの機能、仕様、設計、資材調達、製造コストなどに関わる情報の収集を行います。

・機能定義
対象となる製品・サービスから機能のみを抜き出して定義します。構成要素や働き、役割、目的などを顧客視点で行うことが重要です。

・機能の整理
顧客視点で定義した機能を何のために必要なのか、どのようにして使用するのかなどを整理します。

・機能別コスト分析
必要となる機能を実現するためのコストを算出し、分析します。

・機能の評価
求める機能を実現させるために必要な最低限のコストを基準として、それぞれの機能にどれだけの価値があるのかを評価します。

・対象分野の選定
機能評価の結果を基に、改善・追加する機能分野の優先順位を決定します。

・アイデア発想
「機能の整理」の結果を基に、代替できるものはないか、他に同じ働きをするものはないかなどのアイデアを発想します。

・概略評価
発想したアイデアを実現させるための技量はあるか、コスト面に問題はないかなどを評価し、実際に改善が可能かどうかを検討します。

・具体化
「概略評価」の結果を機能別にメリットを伸ばし、デメリットを解消させ、機能とした価値あるものにするための取り組みを実施し、アイデアを具体化していきます。

・詳細評価
具体化したアイデアの技量面とコスト面の評価を行い、実際に採用する代替案を決定します。

詳細10ステップに関する質問

詳細10ステップを実現させるためには、それぞれについて自問を行うことが重要です。
具体的には次のような質問を自らに行い、回答していきつつ、ステップを進めていきます。

・情報収集
それは何か、どういった情報なのか?

・機能定義
その機能はどのような働きをするのか?

・機能の整理
どういった目的でその機能が必要なのか、どのようにして実現させるのか?

・機能別コスト分析
その機能を実現させるために必要なコストは?

・機能の評価
それぞれの機能にはどれだけの価値があるのか?

・対象分野の選定
それぞれの機能にはどれだけの価値があるのか、どの価値を最優先するのか?

・アイデア発想
代替できるものはないか、他に同じ働きをするものはないか?

・概略評価
求められている機能を果たせるか、コスト面に問題はないか?

・具体化
アイデアを洗練させていけるか、コスト面、機能面に問題はないか?

・詳細評価
決定した代替案でコスト面、機能面に問題はないか、高い価値を提供できるか?

【まとめ表】バリューエンジニアリングのステップ・手順

バリューエンジニアリングのステップ・手順を一つの表にまとめると次のようになります。

 

バリューエンジニアリングを導入している建設会社の事例

ある大手建設会社では、設計においてバリューエンジニアリングの実践を行っています。
お客様の要望に応じ、設計上の課題解決やデザイン性の高い建物設計の合理化などを果たしました。

また、建築においても、3Dモデルを用いた事前検証による工程の短縮に成功。
土木では、UAV空撮による土工事3D出来形管理、設備面でも換気設備の合理化や免震階の結露対策などあらゆる場面でバリューエンジニアリングにより、高い成果を上げています。

 

バリューエンジニアリングは最小限のコストで効率化を行う施策のひとつ

バリューエンジニアリングとは、限られたコストで必要な機能を網羅したうえで、最大の価値を得ることを目指し、組織的に機能研究の努力を重ねていくものです。
市場の成熟化、製品・サービスのコモディティ化が進み、多くの企業で人材不足が慢性化する今、効率的に利益を上げるうえで欠かせない手法といえるでしょう。

しかし、バリューエンジニアリングを実現させるには、それぞれの分野で専門的な知見を持つ社員の育成、積極的にコミュニケーションを取り、情報共有が行われる環境の整備が必須となります。
そこで重要になるのが、人材の育成ツールとしても高い効果が期待できる経営計画書です。

中長期的な視点で目標を立て、それに向かって現実的な計画を立てることが、人材の育成、環境の整備が実現し、バリューエンジニアリングの成功にもつながっていくでしょう。

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