中小企業の業績を最短距離で伸ばすなら株式会社武蔵野の経営コンサルティング

株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/03/27 15:52

V字回復を遂げて業績アップした企業事例を紹介!成長企業の共通点

読了まで約3分

企業経営を続けていると、時には思うように業績が伸びず、経営不振に陥ることもあるでしょう。
経営をどのように改革していくべきか迷ったときには、他社の事例を参考にしてみるといいかもしれません。
特に、危機的な状況から「V字回復」を遂げた企業の事例には、経営再編を成功させるためのヒントを多数見つけられます。

この記事では、V字回復を遂げた企業の国内事例を詳しく解説するとともに、それらの企業の共通点についても紹介します。

 

V字回復とは

V字回復とは、もともと経営状態が優良だった企業の業績が急激に悪化し、その後大きく回復することです。
業績が落ち込んだ後に急回復すると、売上や収益の推移を示すグラフが「Vの字」に見えることから、このような言葉が生まれました。
企業の業績だけでなく、国の財政状況や為替取引のトレンドなどで用いられることもあります。

ビジネスシーンでは「どん底からの急回復」といった劇的な逆転を指して使うことが多く、「業績がどの程度悪化して回復するとV字回復にあたるのか」といった明確な定義はありません。

U・L・W・K字回復

他にも、業績や経営状況の推移を表す言葉として「U字回復・L字回復・W字回復・K字回復」などがあります。

「U字回復」とは、V字回復ほど急速な回復をせず、一定の低迷期を経験してから業績が好転したパターンです。

「L字回復」は、低迷期に入ってからの回復が極めて緩やかなパターンを指しています。
中小企業など大規模な資金投入が難しいケースにおいて、現状を維持しながら体力を回復させている状態です。

「W字回復」は、V字回復を2回経験するパターンです。
一度業績が急回復した後に再び低迷期に転じ、さらに回復を遂げた状態を指します。

「K字回復」は、市場全体が回復傾向にあるものの、回復する業界・企業とそうでないものとが二極化するマクロな経済状況をいいます。
コロナ禍からの回復期において、軌道に乗れる企業と低迷を続ける企業が顕著に分かれたことから、この言葉が生まれました。

 

V字回復した企業事例

それでは、V字回復に成功した企業の国内事例を、6つ紹介していきます。

日本マクドナルド

新型コロナウイルス感染症の流行により外出が制限されるようになってから、飲食業界全体が大打撃を受けました。
マクドナルドも例外ではなく、2020年3月の既存店売上は前年同月比で「-0.1%」と、約4年ぶりのマイナスを記録しています。
しかし、翌4月の売上高は前年同月比で「6.7%増」と、たった1ヶ月で経営をV字回復させたのです。

店内飲食の制限は続いていたため、実は2020年4月の既存店客数は前年同月比で「-18.9%」と、大幅なマイナスとなっています。
それでも客単価が前年同月比で「31.4%増」という急激な伸びを見せたため、総売上は急回復しました。

単価増の理由は、家族利用が激増した点にあります。
テレワークや休校により家族全員が在宅する家庭が増え、家族全員分を注文するケースが増えたためです。
マクドナルドはこの商機を逃さず、モバイルオーダーの機能拡充や家族向けクーポンの配信といった施策をスピーディに実行し、V字回復を実現しています。

日本航空(JAL)

日本を代表する航空会社である日本航空は、米国同時多発テロなどによる国際便の需要減少やリーマンショックによる世界的な不況などの影響により、2010年1月に経営破綻しています。
破綻時の負債総額2兆3,000億円にものぼり、株価が1円になるまで売り込まれました。
しかし、2年半後の2013年9月には東京証券取引第一部に再上場を果たしています。

経営再生にあたり最も力を入れたのが「リーダー教育」です。
日本を代表する経営者の稲盛和夫氏を会長に迎え、社長以下、役員全員参加の特別講和を1ヶ月に5回実施しました。
さらに、そこで得られた学びのエッセンスを3,000人ほどの管理職社員に伝え、経営再建の当事者意識をグループ全体に広げていきました。

その結果、経営と現場の一体感が増し、急速な回復につながっています。

良品計画(無印良品)

無印良品を展開する良品計画は、2000年代に入る頃から経営が悪化の一途を辿り、2001年8月には赤字額が38億年にも達する低迷期を経験しています。
この低迷の原因が、ブランド力の低下や意思決定の停滞といった“大企業病”にあると分析した当時の社長は、大規模な経営改革を実行しました。
その結果、同社は2002年からV字回復を遂げ、現在では海外進出にも成功しています。

改革の柱の一つが、当時所属していたセゾングループの企業文化からの脱却です。
感性的で経験主義の経営を改革し、化学的な分析に基づく徹底したマニュアル化に取り組みました。
さらに「それなりの品質で安い」というイメージを「リーズナブルでハイクオリティ」なブランドに刷新し、リピーターの獲得にも成功しています。

日産自動車

日産自動車は、バブル崩壊後の1990年代以降、自動車販売台数の減少により危機的な経営不振に陥りました。
1999年には6,844億円という赤字額を計上し、上場企業として当時のワースト額を記録したことから世界の注目を集めたほどです。
これを受けて、当時ルソーの副社長であったカルロス・ゴーン氏を最高経営責任者として迎え、短期間でV字回復を遂げています。

ゴーン氏は、就任直後から3年間で20%のコスト削減をはじめとする徹底したコストの最適化や、グローバルでの販売台数を100万台まで増やす計画を発表し、いずれも短期間で達成させています。

改革においてゴーン氏が重視したのは「現場主義」でした。
社員との対話から得られた知見を経営判断に活かし、掲げた目標を管理職だけでなく全社員に周知することで、末端の社員にも目的意識を持たせました。
ゴーン氏が自ら現場に足を運び、そこで得た着想を経営に活かしたことから、全社が一丸となって改革を実行できたのです。

合同会社ユー・エス・ジェイ

2001年に開業したUSJは、初年度に年間来場者数1,100万人を記録したものの、翌年には700万人台まで落ち込み、3年後の2004年に事実上の経営破綻に陥っています。
そこで、2010年にマーケターとして多くの実績を残している森岡氏をマーケティング部長に迎え、売上向上に向けた改革をスタートします。
2015年10月には過去最高の月間来場者数175万人を達成し、東京ディズニーランドをも超える集客数日本一のテーマパークとなりました。

森岡氏は、ターゲットとなる客層の拡大、テレビCMの質の向上、チケット価格の値上げなど40以上のプロジェクトをヒットさせましたが、その原動力は「消費者視点の会社に変わったこと」だったといいます。

USJに限らず、テーマパーク業界全体がクリエイティブ中心の運営がなされていたため、森岡氏は「消費者視点」からのダメ出しを繰り返しました。
その結果「会社が面白いと思ったものを売る」のではなく「売れるものを売る」ビジネスモデルに変革したそうです。

龍角散

咳や喉の薬でおなじみの龍角散は、1970年代から売上が減少し始め、1995年に売上40億円に対して借金40億円という厳しい経営状態に陥りました。
不振の原因としては、主力商品である粉末薬の売上不振や新商品の失敗など複合的な要素が挙げられますが、最大の原因は老舗ブランドのおごりと危機感の欠如にあったといいます。
しかし、2018年には売上200億円を達成するV字回復を遂げました。

経営再編のために社長がとった戦略は「龍角散ブランドへの選択と集中」でした。
それまで発売していたのど飴ブランド「クララ」を発売中止し、龍角散ブランドの商品に集中投資したのです。
家庭薬として培ってきた「龍角散」のブランドロイヤリティを活かした決断がヒットし、V字回復へとつながりました。

 

成功した企業の共通点

これまで紹介した事例を見ても、V字回復に成功した企業には一定の共通要素があることがわかります。
急速な業績回復に必要な要素を知ることで、V字回復するまでの道筋が描けるかもしれません。
ここでは、実際の企業事例を交えてV字回復に成功した企業の共通点を紹介します。

不採算事業や商品に見切りをつける

一つ目の共通点として、不採算事業や売れ行きの悪い商品に早い段階で見切りを付け、ヒットが期待できる商品に集中投資している点があげられます。

例えば、江戸時代中期に創業された歴史を持つ龍角散は、社員の反対の声を押し切って45年間発売したのど飴ブランドを廃止しています。
無印良品は「安くてそれなり」ブランドイメージを抜本的に改革し、新たな客層の開拓に成功しています。

このように、これまでの業態や製品に固執せず、大胆な改革を行う事例が多いです。
歴史のある企業ほど愛着のある商品やビジネスモデルに固執しがちですが、必要な施策に集中投資する決断ができなければ、V字回復は難しいといえるでしょう。

経営者の変革・外部の力を活用

経営体制や方針の根本的な改革を行うために、外部から優秀な人材を招いて重役に据える事例も多くなっています。

日本航空は京セラやKDDIを創業した稲盛和夫氏を会長に迎えており、日産自動車はルソーの副社長であったカルロス・ゴーン氏を最高経営責任者に、USJはマーケターの森岡氏マーケティング部長に迎え入れています。

自社リソースでの改革が難しい場合は、外部に頼る判断も必要です。

忖度なしに組織の意識改革ができるか

一度落ち込んだ経営を再び軌道に乗せ、業績を急回復させるには現場社員の意識改革が欠かせません。
そのため、経営改革に社員を巻き込み、全社が一丸となって改革に向かう企業風土の醸成から着手した企業も多いです。

例えば、2016年に急激な株価下落を経験した味の素では、予定調和型の経営から脱却するために、社長に対する「忖度のない議論」を実践しました。
日産自動車でも、徹底した「現場主義」を貫き、末端社員まで目的意識を持たせることに成功しています。

 

経営モデルの改革は武蔵野へ相談を

経営不振から短期間で業績を向上させ、V字回復を遂げた企業の国内事例を6つご紹介しました。

V字回復を成功させる企業に共通するのは、単に経営施策をヒットさせただけでなく、企業文化の刷新や全社員の意識改革など、企業の基盤となる部分から抜本的な改革を行っている点です。
小手先の経営施策ではなく、自社の根源となる部分を一から見直し、作り直していく決意が必要といえるでしょう。

また、社内リソースのみで改革することが難しい場合、外部の力に頼ることも大切です。
武蔵野では、経験豊富な指導員が現場に同行し、実績的な課題解決を行う伴走型のコンサルティングを行っています。
他にも、経営者向けの座学やプログラムをご用意していますので、組織改革にお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

株式会社武蔵野では、「経営計画書」の無料お試し資料をプレゼントしています。

経営計画書とは、会社の数字・方針・スケジュールをまとめた手帳型のルールブックです。

750社以上の企業を指導する株式会社武蔵野 代表取締役社長 小山昇の経営哲学が詰まった充実の内容となっています!
ぜひ、こちらからダウンロードしてください。

武蔵野のサービスに
ご興味が出てきた方

CONTACT